⏱ 30秒でわかる この単元の要点
- 家計と経済:経済は財やサービスの生産・流通・消費。貯蓄=収入−(消費支出+非消費支出)。希少性があるので選択し、家計・企業・政府の三つの主体の間をお金や物が回る(経済の循環)
- 契約と消費者:契約は合意した時に成立し(口約束でも成立)、結んだら守る義務がある。消費者の四つの権利(1962年、ケネディ大統領)。製造物責任法(1994年)・消費者契約法(2000年)・消費者基本法(2004年)・消費者庁(2009年)
- クーリング・オフ・支払い・流通:訪問販売・電話勧誘販売は8日目まで、マルチ商法は20日目まで、通信販売は対象外。成年年齢は2022年4月から18歳。商品は生産者→卸売業者→小売業者→消費者に届く(POSシステム・プライベートブランド)
- 企業と働く人:利潤=売り上げ−費用。公企業と私企業、中小企業は企業の数の99%以上・働く人の約7割。株式会社の株主は有限責任で、議決権は株式の数に応じる。労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)と労働三法。労働基準法は1日8時間・1週40時間以内
- 価格:需要曲線は右下がり、供給曲線は右上がりで、交わる点が均衡価格(売れ残りなら下がり、品不足なら上がる)。需要曲線が右へ動くと価格は上がり、供給曲線が右へ動くと下がる。独占は1社、寡占は数社。独占禁止法(1947年)と公正取引委員会、公共料金は国などが決めたり認めたりする
つまずき注意:右上がりの線は供給曲線、右下がりの線は需要曲線。契約は口約束でも成立し、一方的にはやめられない。クーリング・オフは通信販売には使えない。独占は1社、寡占は数社。
中3社会(公民)の「消費生活と市場経済のしくみ」で、需要量と価格の関係の向き(需要曲線は右下がり、供給曲線は右上がり)、契約と消費者を守る制度、株式会社と働く人の権利までを、表と例題で1つずつ確かめるページです。前半(消費生活と流通)では、家計・契約・消費者を守るしくみ・支払い方法・流通を、後半(企業と市場経済)では、企業・株式会社・働く人の権利・価格の決まり方・独占禁止法を整理します。どの見出しも「答え → 表 → 理由 → 例題」の順に書いています。紙に書いて練習したい人は、下の無料プリントを使ってください。
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説明 1〜12ページ/確認問題 13〜15ページ/覚えることの一覧 16ページ/答えと解説 17・18ページ
説明 1〜16ページ/確認問題 17〜19ページ/覚えることの一覧 20ページ/答えと解説 21・22ページ。この記事の見出しごとに、対応するプリントとページを書いています。
- 消費生活と流通:前半の全体像
- 経済とは何? 家計は、どのようにお金を得て使う?
- お金も物も限られているとき、どう選ぶ?
- 契約とは何? 結ぶとき、何に気をつける?
- 消費者問題はなぜ起こる? 消費者の四つの権利
- 消費者を守る法律と制度:製造物責任法・消費者契約法・クーリング・オフ
- 自立した消費者になるには? 困ったときの相談先
- 18歳から何が変わる? お金の払い方のちがい
- 商品はどうやって届く? 流通と、流通の合理化
- 前半のまとめ:よりよい消費生活を送るには、何を知っておけばよい?
- 企業・働く人・価格:後半の全体像
- 企業は何のために生産する? 利潤と分業
- 企業の種類と社会的責任:公企業・私企業・中小企業・CSR
- 株式会社はどうやって資本を集める? 株主の権利と責任
- 働く人はどう守られる? 労働三権と労働三法
- 働き方はどう変わってきた? 正規と非正規・ワーク・ライフ・バランス
- 価格はどう決まる? 需要量と価格の関係の向き
- 価格はどんなときに変わる? 需要曲線・供給曲線が動くとき
- 価格の働きと独占:競争が弱いと、価格はどうなる?
- 公正な競争を守るしくみ:独占禁止法と公共料金
- 後半のまとめ:企業・働く人・価格は、どうつながって暮らしを支えている?
- まとめ
消費生活と流通:前半の全体像
📄 プリント①(消費生活と流通)1ページ
答え:私たちは毎日、お店で物を買ったり、電車に乗ったりして暮らしています。この毎日の買い物は、社会全体の経済の一部です。前半では、家計と消費・契約・消費者を守るしくみ・18歳からの契約と支払い方法・流通を順に学びます。
| 学ぶこと | 問い |
|---|---|
| ① 家計と消費 | 経済とは何? お金や物が限られているとき、どう選ぶ? |
| ② 契約 | 契約はいつ成り立つ? 結ぶときに何に気をつける? |
| ③ 消費者を守るしくみ | 消費者問題はなぜ起こる? 守る法律や制度は? 自立した消費者とは? |
| ④ 18歳からの契約と支払い方法 | 18歳から何が変わる? お金の払い方には、どんなちがいがある? |
| ⑤ 流通 | 商品は、どうやって私たちに届く? 流通の工夫で、何が変わる? |
全体の図のとらえ方:商品は、生産者から流通を通って店(小売業者)に届き、店と消費者(家計)が契約を結んで売り買いされます。その消費者を、消費者を守る法律や相談の窓口が守ります。あと数年たって18歳になると、親の同意なしに、一人で契約を結べるようになります。
まちがえやすい
✕ 毎日の買い物は、社会全体の経済とは関係がない → ◯ 毎日の買い物は、社会全体の経済の一部
基本前半で学ぶ5つのうち、「商品が生産者から消費者に届くまでの流れ」を学ぶのはどれですか。(家計と消費/契約/消費者を守るしくみ/18歳からの契約と支払い方法/流通)
問いの表の⑤を見ます。
答え:流通
経済とは何? 家計は、どのようにお金を得て使う?
📄 プリント①(消費生活と流通)2ページ
答え:経済は、物(財)やサービスを生産し、流通させ、消費するしくみや活動です。家計は、家族や個人が営む消費生活の単位で、収入(所得)から、消費支出と非消費支出を引いた残りが貯蓄です。
| 意味 | 身近な例 | |
|---|---|---|
| 財(ざい) | 形のある商品 | パン・服・スマートフォン・自転車・ノート |
| サービス | 形のない商品 | 散髪(髪を切る)・電車に乗る・病院で診察を受ける・塾の授業・映画を見る |
経済と消費:消費は、財やサービスを買って使うことです。サービスの分野には、理容・美容・交通・医療・教育・通信・娯楽などがあります。
| 所得の種類 | 例 |
|---|---|
| 給与所得 | 会社などに勤めて得る賃金 |
| 事業所得 | 農業・商店・工場などを自分で営んで得る |
| 財産所得 | 家賃・地代、預金の利子、株式の配当など |
支出と貯蓄:所得から使った分が支出です。支出は、生活のために使う消費支出(食料・住居・光熱・水道・交通・通信・教育・教養娯楽など)と、税金や社会保険料などの非消費支出に分かれます。残りが貯蓄(預金・生命保険・株式など)で、将来の支出や、病気・事故などに備えます。
貯蓄 = 収入 −(消費支出 + 非消費支出)。図の家族は、40 −(26 + 8)= 6万円です。合言葉は「形があれば財、形がなければサービス」です。
まちがえやすい
✕ 税金や社会保険料は、消費支出 → ◯ 非消費支出に入る
基本次のア〜エを、財とサービスに分けなさい。ア ノート イ 映画を見る ウ 自転車 エ 塾の授業
形のある商品が財、形のない商品がサービスです。
答え:財=ア・ウ、サービス=イ・エ
標準ある家庭の1か月は、消費支出が25万円、非消費支出が8万円で、貯蓄が6万円でした。この家庭の1か月の収入は、何万円ですか。
貯蓄 = 収入 −(消費支出 + 非消費支出)なので、収入 = 貯蓄 + 消費支出 + 非消費支出 です。6 + 25 + 8 = 39 になります。
答え:39万円
理由収入のすべてを使い切らず、貯蓄をするのは、なぜですか。「将来」の語を使って答えなさい。
貯蓄の役割を思い出します。
答え:(例)将来の支出や、病気・事故などに備えるため。
お金も物も限られているとき、どう選ぶ?
📄 プリント①(消費生活と流通)3ページ
答え:人々が欲しいと思う量に対して、財やサービスの量(や、使えるお金・時間)が限られていることを希少性といいます。限りがあるので、どれを買うかを選択し、計画的な消費をします。経済は、家計・企業・政府の三つの主体を、お金や物が回ることで成り立っています。
希少性と選択:たとえば、おこづかいが3000円のとき、欲しい物が「本1500円」と「スニーカー3500円」で合わせて5000円分あれば、全部は買えません。そこで、どれを買うかを選択することになります。限られているのは、お金のほかにもあります。1日の時間も24時間と決まっているので、何に使うかを選ぶ必要があります。
| 選ぶときの順 | なぜ |
|---|---|
| 本当に必要かを考える | 欲しい気持ちのままに買うと、あとで使わなくなることがあるから |
| 予算(使えるお金)の中におさまるかを確かめる | 予算をこえると、ほかの支出が足りなくなるから |
| 値段・品質・環境への影響をくらべる | 同じ働きの商品でも、ちがいがあるから |
| 経済の三つの主体 | 役割 |
|---|---|
| 家計 | 消費の主体 |
| 企業 | 生産の主体 |
| 政府(国や地方公共団体) | 税金を集め、公共サービスを提供する |
経済の循環:3つの主体の間を、お金や物が回るしくみを経済の循環といいます。家計は企業に労働力を提供して賃金を受け取り、企業から財・サービスを受け取って代金を払います。家計と企業は政府に税金を納め、政府は道路・学校・警察・消防などの公共サービスを提供します。企業のくわしい内容は、後半(企業と市場経済)で学びます。
まちがえやすい
✕ 希少性とは、めずらしい物のこと → ◯ 欲しい量に対して、使えるお金や物が限られていること
標準おこづかいが2000円のとき、欲しい物が「ノート1200円」と「辞書1500円」です。2つとも買えますか。また、そのときは何をすることになりますか。
合計は、1200 + 1500 = 2700円で、2000円をこえます。
答え:買えない。どちらを買うかを選択することになる。
理由買う物を選ぶとき、予算の中におさまるかを確かめるのは、なぜですか。「ほかの支出」の語を使って答えなさい。
選ぶときの順の表の2行目を見ます。
答え:(例)予算をこえると、ほかの支出が足りなくなるから。
契約とは何? 結ぶとき、何に気をつける?
📄 プリント①(消費生活と流通)4・5ページ
答え:契約は、売る側と買う側が、たがいに合意した時に成立します。契約書が無くても、口約束でも成立します。結んだ契約は、たがいに守る義務があり、原則として一方的にやめることはできません。
| 場面 | 売る側 | 買う側 | 何について合意しているか |
|---|---|---|---|
| おにぎりを買う | 店 | 客 | おにぎりを、決まった値段で売り買いする |
| 電車に乗る | 鉄道会社 | 乗る人 | 運賃を払い、目的地まで運んでもらう |
| 美容院で髪を切ってもらう | 美容院 | 客 | 料金を払い、髪を切ってもらう |
| スマートフォンを使う | 通信会社 | 利用者 | 料金を払い、通信を使えるようにしてもらう |
契約が成立するまで:店が、商品と値段を示します。客が「これを買います」と示します。店が受け入れます。ここで合意が成立し、契約が成立します。そのあと、代金を払い、商品を受け取ります(たがいの義務を果たす)。契約が成立するのは、合意した時です。代金を払った時ではありません。
| 権利(相手に求めることができること) | 義務(果たさなければならないこと) | |
|---|---|---|
| 売る側 | 代金を受け取る | 商品をわたす |
| 買う側 | 商品を受け取る | 代金を払う |
契約自由の原則:だれと、どんな内容の契約を、どんな方法で結ぶかは、原則として自由であるという考え方です。契約は、当事者どうしがつくる、たがいのきまりです。
結んだら守る義務がある:自由には、義務がともないます。そこで、結ぶ前によく確かめることが大切です。たとえば、スポーツクラブに入る契約では、内容(どんな設備を、どのくらい使えるか)、値段・回数(月の会費はいくらか、何回まで通えるか)、やめるときの決まり(いつまでに知らせればやめられるか、お金はかかるか)を確かめます。
| 契約を結ぶときの注意 | なぜ |
|---|---|
| 内容と条件(値段・回数・やめるときの決まり)を、最後まで読む | 結んだら守る義務があり、知らなかったと言ってもやめられないから |
| 分からないことは聞き、その場で決めない | 急がされると、確かめないまま合意してしまうから |
| 契約書や画面の記録を残す | あとで、契約の内容を確かめられるように |
| その場で決めた | 持ち帰って考えた | |
|---|---|---|
| 内容を読む時間 | 少ない | 十分にとれる |
| ほかの店とくらべる | できない | できる |
| 家族に相談する | できない | できる |
消費者主権:消費者が自分の意思と判断で、商品を選んで買うことができるという考え方です。消費者の選び方は、何がつくられるかを動かします。たとえば、多くの消費者が、ごみの少ない包装の商品を選ぶようになると、企業もそうした商品をつくるようになります。合言葉は「その場で決めず、読んでから合意」です。
まちがえやすい
✕ 契約書にサインしなければ、契約は成立しない → ◯ 口約束でも成立する
✕ 気が変わったら、結んだ契約はいつでも一方的にやめられる → ◯ 一方的にはやめられない
基本美容院で髪を切ってもらう契約で、客の義務と、美容院の権利は、それぞれ何ですか。
権利と義務の表の考え方を、場面に当てはめます。客は買う側、美容院は売る側です。
答え:客の義務は料金を払うこと、美容院の権利は料金を受け取ること
標準契約が成立するのは、次のア〜ウのうち、どの時ですか。ア 店が商品と値段を示した時 イ 客が「買います」と示し、店が受け入れた時 ウ 代金を払い、商品を受け取った時
契約が成立するのは、売る側と買う側が合意した時です。代金を払った時ではありません。
答え:イ
標準次のア〜ウを、「消費者主権」のしくみの流れの順に並べなさい。ア 企業も、そうした商品をつくるようになる イ 消費者が、ごみの少ない包装の商品を選ぶ ウ そうした商品が売れる
消費者の選び方が、何がつくられるかを動かします。
答え:イ → ウ → ア
理由契約を、その場で決めずに、持ち帰って考えるとよいのは、なぜですか。「家族」「ほかの店」の語を使って答えなさい。
「その場で決めた」場合と「持ち帰って考えた」場合を比べた表を見ます。
答え:(例)内容を読む時間が十分にとれ、ほかの店とくらべたり、家族に相談したりできるから。
消費者問題はなぜ起こる? 消費者の四つの権利
📄 プリント①(消費生活と流通)6ページ
答え:欠陥商品の事故や悪質商法で、消費者が被害を受けることを消費者問題といいます。売る側と買う側に情報の差があるので、起こりやすくなります。消費者には、1962年にアメリカのケネディ大統領が示した四つの権利があります。
| 売る側 | 買う側 | |
|---|---|---|
| 商品の知識 | 材料・つくり方・性能をよく知っている | 知る手がかりが少ない |
| 契約の決まりの知識 | よく知っている | くわしくないことが多い |
| 話し合いの力 | 説明に慣れている | 1人で、その場で判断しがち |
悪質商法:うそや強引な勧誘で契約させたり、うその請求で払わせたりする、不当な売り方です。
| 名前 | 場面(架空) |
|---|---|
| 訪問販売での強引な売りつけ | 家に来て、断っても帰ってくれない |
| キャッチセールス | 街で声をかけ、店や事務所に連れて行って契約させる |
| 架空請求 | 使っていないサイトの料金などを、うその請求で払わせる |
| 消費者の四つの権利 | 意味 |
|---|---|
| 安全を求める権利 | 安全な商品を使える |
| 知らされる権利 | 正しい表示や説明を受けられる |
| 選択する権利 | いくつかの商品から、自由に選べる |
| 意見を反映させる権利 | 消費者の意見を、国や企業の決まりに生かせる |
資料の読み方:買い物の形(販売方法)には、店舗購入・訪問販売(家に来て売る)・電話勧誘(かんゆう)販売(電話で勧めて売る)・通信販売(インターネット通販など)があります。販売方法ごとの資料を読むときは、割合(全体の何%か)と件数を分けます。件数=全体の件数×割合なので、割合が高くても、全体の件数が少なければ件数は少なくなります。
まちがえやすい
✕ 消費者問題は、消費者の不注意だけで起こる → ◯ 情報の差があるので起こりやすい
基本次の(1)(2)は、悪質商法の何にあたりますか。(1)街で声をかけ、店や事務所に連れて行って契約させる (2)家に来て、断っても帰ってくれない
悪質商法の表の「場面」の列と見くらべます。
答え:(1)キャッチセールス (2)訪問販売での強引な売りつけ
標準架空の資料です。販売方法Xは、相談の全体の件数が2000件で、そのうち15%が60歳以上でした。販売方法Yは、相談の全体の件数が400件で、そのうち40%が60歳以上でした。(1)60歳以上の件数が多いのは、XとYのどちらですか。(2)60歳以上の割合が高いのは、XとYのどちらですか。
件数=全体の件数×割合です。Xは 2000 × 0.15 = 300件、Yは 400 × 0.4 = 160件です。
答え:(1)X(300件と160件) (2)Y(40%と15%)
理由売る側と買う側に情報の差があると、消費者が不利になりやすいのは、なぜですか。「契約の決まり」「その場」の語を使って答えなさい。
売る側と買う側を比べた表を見ます。
答え:(例)売る側は商品や契約の決まりをよく知っているが、買う側は情報が少なく、1人でその場で判断しがちだから。
消費者を守る法律と制度:製造物責任法・消費者契約法・クーリング・オフ
📄 プリント①(消費生活と流通)7ページ
答え:売る側と買う側の情報の差から消費者を守るために、国は法律や制度をつくってきました。商品の欠陥には製造物責任法(PL法)、うその説明や不当な勧誘には消費者契約法、訪問販売などで契約したときのクーリング・オフ制度があります。
| 年 | 名前 | 中身 |
|---|---|---|
| 1968年 | 消費者保護基本法 | 弱い立場の消費者を保護する |
| 1994年 | 製造物責任法(PL法) | 欠陥商品の被害の賠償(ばいしょう)を求めやすくする |
| 2000年 | 消費者契約法 | うその説明や不当な勧誘で結んだ契約を、取り消せる |
| 2004年 | 消費者基本法 | 消費者保護基本法を改正 |
| 2009年 | 消費者庁 | 消費者行政をまとめて行う国の役所 |
製造物責任法(PL法):商品の欠陥で被害を受けたとき、消費者は、企業の過失(落ち度)を証明しなくても、損害賠償を求めることができます。消費者契約法では、うその説明をされた契約や、「帰ってくれない」など不当な勧誘で結んだ契約を、あとから取り消すことができます。
クーリング・オフ制度:訪問販売や電話勧誘販売などで契約したとき、一定の期間内なら、理由を問わず契約を解除(かいじょ)できる制度です。契約の書面を受け取った日を1日目として数えます(例:4月1日に受け取ったなら、4月8日が8日目)。訪問販売・電話勧誘販売は8日目まで、マルチ商法(連鎖販売取引)は20日目までです。はがきや電子メールなどで、売る側に「契約を解除します」と知らせます。
| 販売方法 | クーリング・オフ |
|---|---|
| 訪問販売・電話勧誘販売 | 対象(8日目まで) |
| マルチ商法 | 対象(20日目まで) |
| 通信販売(インターネットショッピングなど) | 対象外 |
通信販売で返品できるかは、店が決めた返品の決まりによります。合言葉は「訪問・電話は8日、通信販売はクーリング・オフなし」です。
まちがえやすい
✕ インターネットの通信販売も、クーリング・オフで解除できる → ◯ 通信販売は対象外
標準次のア〜ウを、できた年の古い順に並べなさい。ア 消費者庁 イ 消費者基本法 ウ 製造物責任法(PL法)
年表の年を使います。ウ=1994年、イ=2004年、ア=2009年です。
答え:ウ → イ → ア
標準(1)訪問販売で契約し、契約の書面を4月3日に受け取りました。クーリング・オフで解除できるのは、何月何日までですか。(2)マルチ商法で契約し、契約の書面を5月1日に受け取りました。クーリング・オフで解除できるのは、何月何日までですか。
書面を受け取った日が1日目です。(1)4月3日が1日目なので、8日目は4月10日です。(2)5月1日が1日目なので、20日目は5月20日です。
答え:(1)4月10日まで (2)5月20日まで
自立した消費者になるには? 困ったときの相談先
📄 プリント①(消費生活と流通)8ページ
答え:2004年の消費者基本法は、消費者の権利を尊重し、消費者が自立できるよう支援する法律です。困ったときは、一人でなやまず、家族や消費生活センターに相談します(消費者ホットライン「188」)。自立した消費者には、情報を集めて判断し、環境や社会のことも考えて選ぶ責任もあります。
| 消費者保護基本法(1968年) | 消費者基本法(2004年) | |
|---|---|---|
| 考え方 | 国や企業が、弱い立場の消費者を保護する | 消費者の権利を尊重し、消費者が自立できるよう支援する |
| 消費者の役割 | 守られる立場 | 自分で情報を集め、判断する |
2009年には消費者庁が置かれ、消費者行政をまとめて行う国の役所になりました。
困ったときは:契約書や画面の記録を確かめます。一人でなやまず、家族や消費生活センターに相談します。クーリング・オフなど、使える制度を確かめます。
| 相談先 | だれが置く? | ポイント |
|---|---|---|
| 消費生活センター | 地方公共団体 | 身近な相談の窓口 |
| 国民生活センター | 国 | 全国の相談の情報を集め、消費者を支える |
自立した消費者の責任:消費者の権利が守られることに加えて、消費者自身にも責任があります。商品や契約について情報を集め、くらべて確かめてから判断します。おかしいと思ったら、すぐに相談します。環境や社会のことを考えて選びます(例:リサイクルしやすい商品・地元の産物・フェアトレードの商品)。合言葉は「おかしいと思ったら、すぐ相談」です。
まちがえやすい
✕ 消費者基本法は、消費者を保護するだけの法律 → ◯ 消費者の権利を尊重し、自立を支援する法律
標準次のア〜エを、消費者保護基本法(1968年)と消費者基本法(2004年)に分けなさい。ア 国や企業が、弱い立場の消費者を保護する イ 消費者の権利を尊重し、自立を支援する ウ 消費者の役割は、自分で情報を集め、判断すること エ 消費者の役割は、守られる立場
2つの基本法を比べた表と見くらべます。
答え:消費者保護基本法=ア・エ、消費者基本法=イ・ウ
基本消費生活センターと国民生活センターのうち、地方公共団体が置く身近な相談の窓口はどちらですか。
相談先の表の「だれが置く?」の列を見ます。
答え:消費生活センター
18歳から何が変わる? お金の払い方のちがい
📄 プリント①(消費生活と流通)9ページ
答え:2022年4月から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。18歳からは、親の同意なしに一人で契約できますが、取り消せなくなります(自分の責任)。支払い方法には、前払い・その場で払う・あと払いがあり、現金を使わない支払いをキャッシュレス決済といいます。
| 17歳まで | 18歳から | |
|---|---|---|
| 一人で契約できるか | 親の同意が要る | 親の同意なしにできる(例:スマートフォンの契約・クレジットカードをつくる・部屋を借りる) |
| 親の同意なしの契約を取り消せるか | 取り消せる(未成年者取消権) | 取り消せない(自分の責任) |
お酒・たばこは、今も20歳からです。
| 支払い方法 | いつ払う | 特ちょう |
|---|---|---|
| 電子マネー・プリペイドカード | 前払い | 入金(チャージ)した分まで使う物が多い |
| 現金 | その場 | 持っている分まで使える |
| デビットカード | その場 | その場で、口座から引き落とされる |
| クレジットカード | あと払い | 代金は、あとで口座から引き落とされる |
| コード決済 | 前払い・あと払い | スマートフォンでQRコードなどを読み取って払う |
キャッシュレス決済(けっさい):現金を使わない支払いです。クレジットカード・電子マネー・コード決済などがあります。
クレジットカードのしくみ:①消費者がカードで買い、店は商品をわたします。②カード会社が、店に代金を立てかえて払います。③消費者は、あとで口座から引き落とされて、カード会社に払います。手元にお金が無くても買えるので、使いすぎに注意しましょう。合言葉は「18歳からは自分で契約、あと払いは使いすぎに注意」です。
まちがえやすい
✕ クレジットカードで買えば、お金を払わなくてよい → ◯ あとで口座から引き落とされる
標準次のア〜エを、18歳から一人でできることと、今も20歳からのことに分けなさい。ア スマートフォンの契約 イ お酒を飲む ウ クレジットカードをつくる エ たばこを吸う
18歳からできる例は、スマートフォンの契約・クレジットカードをつくる・部屋を借りることです。お酒・たばこは、今も20歳からです。
答え:18歳から=ア・ウ、20歳から=イ・エ
標準次のア〜ウを、クレジットカードで買うときの流れの順に並べなさい。ア カード会社が、店に代金を立てかえて払う イ 消費者がカードで買い、店が商品をわたす ウ 消費者が、あとで口座から引き落とされて、カード会社に払う
買う → カード会社が店に払う → 消費者があとで払う、の順です。
答え:イ → ア → ウ
商品はどうやって届く? 流通と、流通の合理化
📄 プリント①(消費生活と流通)10・11ページ
答え:流通は、商品が生産者から消費者に届くまでの流れです。商品は卸売業・小売業を通って届き、運送・保管などの仕事が流通を支えます。流通の合理化で、商品は安く早く届くようになりましたが、働く人への影響という課題もあります。
| だれから仕入れる | だれに売る | 例 | |
|---|---|---|---|
| 卸売業(おろしうりぎょう) | 生産者(から大量に) | 小売業者 | 卸売市場の業者など |
| 小売業(こうりぎょう) | 卸売業者など | 消費者 | 商店・スーパーマーケット・コンビニエンスストア・百貨店・インターネットの通信販売など |
野菜が店に並ぶまで:農家(生産者)が野菜を育て、トラックで卸売市場に運びます。卸売市場で、卸売業者がまとめて仕入れて売ります。スーパーマーケットなどの小売業者が仕入れて、店に並べます。家で、消費者が買います。野菜は傷みやすいので、運ぶ時間を短くし、冷やして保管することも、流通の大切な工夫です。商業は、流通を専門に行う産業です。
| 流通を支える仕事 | 役割 |
|---|---|
| 運送業・倉庫業 | トラックなどで商品を運ぶ。倉庫で商品を保管する |
| 広告業・保険業・通信 | 商品を宣伝する。事故や災害に備える。情報をやりとりする |
流通の合理化:流通にかかる費用や手間を減らす、くふうです。近道には2つあります。近道①は、大規模小売業者が、卸売業者を通さず生産者から直接仕入れることです。卸売業者に払う費用や、運ぶ手間が減るので、その分、商品を安く売ることができます。近道②は、通信販売で、生産者が消費者に直接売ることです。
大規模小売業者(スーパーマーケットやコンビニエンスストアのチェーンなど)は、自社の物流センター(商品をまとめて保管し、店へ送り出す大きな倉庫)から、各店にまとめて商品を運ぶこともあります。プライベートブランドは、大規模小売業者が独自に企画して、生産を頼み、自社のブランドとして売る商品です。
POSシステム:販売時点情報管理システムのことで、レジで商品のバーコードを読み取り、何が・いつ・いくつ売れたかを記録するしくみです。売れた記録が本部に集まり、必要な数を仕入れたり生産したりできます。
| 立場 | 影響 |
|---|---|
| 消費者 | よい点:商品が安く・早く手に入る |
| 小売業者 | よい点:費用が減り、売れる物を必要な数ずつ仕入れられる(POSシステム) |
| 卸売業者や小さな商店 | 課題:仕事が減ることがある |
| 運送業 | 課題:荷物が増え、働く人の負担が大きくなっている |
まちがえやすい
✕ 小売業者は、生産者から直接消費者に売る業者 → ◯ 小売業者は、卸売業者などから仕入れて消費者に売る業者
✕ 流通の合理化で、卸売業はすべて無くなった → ◯ 今も多くの商品は卸売業者を通る
基本次の(1)(2)は、卸売業者と小売業者のどちらですか。(1)生産者から大量に仕入れて、小売業者に売る (2)卸売業者などから仕入れて、消費者に売る
表の「だれから仕入れる」「だれに売る」の列を見ます。
答え:(1)卸売業者 (2)小売業者
標準次のア〜ウを、野菜が店に並ぶまでの順に並べなさい。ア スーパーマーケットなどの小売業者が仕入れて、店に並べる イ 卸売市場で、卸売業者がまとめて仕入れて売る ウ 農家が野菜を育て、トラックで卸売市場に運ぶ
生産者 → 卸売業者 → 小売業者 → 消費者の順です。
答え:ウ → イ → ア
理由大規模小売業者が、卸売業者を通さず生産者から直接仕入れると、商品を安く売れるのは、なぜですか。「費用」の語を使って答えなさい。
流通の近道①で、何が減るかを考えます。
答え:(例)卸売業者に払う費用や、運ぶ手間が減るから。
前半のまとめ:よりよい消費生活を送るには、何を知っておけばよい?
📄 プリント①(消費生活と流通)12ページ
答え:限られたお金で、本当に必要かを考えて、計画的に選びます。契約は合意で成り立ち、守る義務があるので、内容をよく読んでから結びます。売る側との情報の差があるので、困ったときは、法律や制度を使い、すぐ相談します。支払い方法や流通のしくみも知り、自立した消費者として、環境や社会のことも考えて選びます。
ステップチャート:①経済は財やサービスの生産・流通・消費。家計は収入を消費と貯蓄に分ける → ②希少性があるので、選んで計画的に消費する。三つの主体はつながる → ③契約は合意で成立し、口約束でも成り立つ → ④契約は守る義務があるので、よく読んで結ぶ。消費者の選択が生産を動かす → ⑤情報の差で消費者問題が起こる。消費者には四つの権利がある → ⑥PL法・消費者契約法・クーリング・オフで、消費者を守る → ⑦消費者基本法で自立を支援。おかしいと思ったら、すぐ相談する → ⑧ 18歳から一人で契約できる。支払い方法のちがいを知る → ⑨商品は、卸売業・小売業を通って届く → ⑩流通の合理化で、商品は安く早く届く。働く人への影響もある。
まちがえやすい
✕ 契約は、結んだあとでも、気が変わればいつでも一方的にやめられる → ◯ 結んだ契約は守る義務があるので、よく読んでから結ぶ。例外は、クーリング・オフなどの制度
標準次のア〜ウを、「前半のステップチャート」の順に並べなさい。ア 契約は合意で成立し、口約束でも成り立つ イ 経済は財やサービスの生産・流通・消費。家計は収入を消費と貯蓄に分ける ウ 18歳から一人で契約できる。支払い方法のちがいを知る
経済(①)→ 契約(③)→ 18歳と支払い方法(⑧)の順につなぎます。
答え:イ → ア → ウ
基本次のア〜ウは、全体の図の「消費者問題」「法律・制度」「相談先」のどれにあたりますか。ア 情報の差・四つの権利 イ PL法・消費者契約法・クーリング・オフ・消費者基本法 ウ 消費生活センター・188
全体の図の、消費者を守る部分の言葉と見くらべます。
答え:ア 消費者問題、イ 法律・制度、ウ 相談先
企業・働く人・価格:後半の全体像
📄 プリント②(企業と市場経済)1ページ
答え:前半で、企業は生産の主体だと学びました。後半では、企業が何のために生産するか、働く人はどう守られるか、値段はどう決まるかを順に学びます。企業と家計は、市場の価格でつながり、国が法律や公正な競争を守っています。
| 学ぶこと | 問い |
|---|---|
| ① 生産と企業 | 企業は何を生産し、何のために生産する? 仕事を分けると、何がよい? |
| ② 企業の種類と社会的責任 | 企業には、どんな種類がある? 利潤のほかに、どんな責任がある? |
| ③ 株式会社 | 大きな資本を、どうやって集める? 株主には、どんな権利と責任がある? |
| ④ 働く人の権利 | 働く人は、どんな権利や法律で守られている? |
| ⑤ 働き方の変化 | 働き方は、どう変わってきた? いきいきと働けるようにするには? |
| ⑥ 価格の決まり方 | ものの値段は、どう決まる? どんなときに変わる? |
| ⑦ 価格の働きと独占 | 価格には、どんな働きがある? 競争が弱まると、どうなる? |
全体の図のとらえ方:家計(消費者・働く人)は企業へ「労働力」をわたし、企業は家計へ「賃金」を払います。家計は市場で買い、企業は市場で売ります。株主は企業にお金を出します。国は、法律・公正な競争・公共料金で全体を支えます。
まちがえやすい
✕ 企業は、家計から一方的にお金を受け取るだけ → ◯ 家計は企業へ「労働力」をわたし、企業は家計へ「賃金」を払う。お金や物は、たがいに回っている
基本全体の図で、家計から企業へわたすものと、企業から家計へ払うものは、それぞれ何ですか。
全体の図の、家計と企業をつなぐ矢印を見ます。
答え:家計から企業へ「労働力」、企業から家計へ「賃金」
企業は何のために生産する? 利潤と分業
📄 プリント②(企業と市場経済)2・3ページ
答え:企業は、設備・原材料・労働力・資本で財やサービスを生産し、分業と交換で効率よくつくります。民間の企業は、売り上げから費用を引いた残りの利潤を目的に競争し、その中で技術革新が生まれます。
| 必要なもの | 意味 | A店(パン屋)の例 |
|---|---|---|
| 設備 | 生産に使う、工場や機械などの物 | オーブン・店の建物 |
| 原材料 | つくる物のもとになる材料 | 小麦粉・バター・卵 |
| 労働力 | 働く人 | パンを焼く人・売る人 |
| 資本(しほん) | 上の3つを用意するための元手のお金 | A店を開く元手のお金 |
財とサービス:生産は、財やサービスをつくり出すことで、生産の中心となるのは企業です。企業がつくるのは、パンのような形のある財に限りません。美容院の散髪、鉄道で人を運ぶこと、病院の診察のようなサービスも、企業が生産します。
| 1人で全部つくる場合 | 分業する場合 | |
|---|---|---|
| 仕事のしかた | 最初から最後まで、1人で行う | 得意な仕事に集中でき、なれて早くなる |
| 時間と量 | 時間がかかり、つくれる量が少ない | たくさん・早く・安くつくれる(効率がよい) |
| つくらない物 | 自分で用意する | お金で手に入れる(交換) |
分業と交換:分業は、仕事を分けて受け持つことです。交換は、つくった物を、お金を仲立ちに取りかえることです。小麦をつくる人 → 粉にする人 → パンを焼く人 → 運ぶ人 → 売る人、と分けて、できた物は、お金を払って次の人へ渡します。
利潤の求め方:A店は、パンを売ってお金を得ます。このお金(売り上げ)から、パンをつくるためにかかったお金(費用)を引いた残りを、利潤(りじゅん)といいます。民間の企業(私企業)は、利潤を目的に生産します。
| A店の1か月(例) | 金額 | |
|---|---|---|
| 売り上げ(パンを売って得たお金) | 200万円 | |
| 費用 | 原材料費 | 80万円 |
| 賃金 | 70万円 | |
| その他の費用(光熱費・家賃など) | 30万円 | |
| 利潤(売り上げ − 費用) | 20万円 | |
費用を足すと 80 + 70 + 30 = 180(万円)、売り上げから引くと 200 − 180 = 20(万円)です。費用が売り上げより多いと、利潤は出ず、損をします。
競争と技術革新:資本主義経済は、資本を元手に、企業が利潤を目的として自由に生産を行う経済のしくみです(日本など多くの国)。企業は自由に生産できるので、ほかの企業との競争が生まれます。企業は、ほかの企業より売れる物をつくろうと競争し、新しい技術・製品・つくり方を生み出します(技術革新〔イノベーション〕)。消費者は、より良い物をより安く手に入れられます(例:電気を少ししか使わない家電)。合言葉は「利潤 = 売り上げ − 費用」です。
まちがえやすい
✕ 企業が生産するのは、形のある財だけ → ◯ サービスも生産する
✕ 利潤とは、売り上げのこと → ◯ 売り上げから費用を引いた残り
基本次のア〜ウのうち、サービスを生産しているものを2つ選びなさい。ア パンを焼く イ 美容院で髪を切る ウ 電車で人を運ぶ
形のないものがサービスです。
答え:イ・ウ
標準ある店の1か月は、売り上げが150万円、費用が原材料費60万円・賃金55万円・その他25万円でした。(1)利潤は何万円ですか。(2)別の月に、売り上げが120万円で、費用が130万円でした。利潤は出ますか。
(1)費用は 60 + 55 + 25 = 140(万円)です。利潤は、150 − 140 = 10(万円)です。(2)費用130万円が売り上げ120万円より多く、120 − 130 = −10 なので、利潤は出ず、10万円の損です。
答え:(1)10万円 (2)出ない(10万円の損)
理由企業どうしが競争すると、新しい技術や製品が生まれやすいのは、なぜですか。「売れる物」の語を使って答えなさい。
競争が、企業をどう動かすかを思い出します。
答え:(例)企業は、ほかの企業より売れる物をつくろうと競争し、新しい技術・製品・つくり方を生み出すから。
企業の種類と社会的責任:公企業・私企業・中小企業・CSR
📄 プリント②(企業と市場経済)4・5ページ
答え:国や地方公共団体が経営し、公共のために仕事をするのが公企業、民間が経営し、利潤を目的とするのが私企業です。中小企業は、企業の数の99%以上、働く人の約7割をしめます。企業は利潤を求めるだけでなく、企業の社会的責任(CSR)も果たします。
| 公企業 | 私企業 | |
|---|---|---|
| 経営 | 国や地方公共団体 | 民間 |
| 目的 | 公共のため。利潤を目的としない | 利潤を目的とする |
| 例 | 水道・市営(公営)バス・造幣局・国立印刷局 | 農家・個人商店(個人企業)、株式会社(法人企業) |
場面から種類を決める:だれが経営しているか → 何を目的にしているか、の順に見ます。
| 例 | 経営 | 目的 | 種類 |
|---|---|---|---|
| Aさんが1人で営むパン屋のA店 | 民間 | 利潤 | 私企業(個人企業) |
| 株式会社のB社 | 民間 | 利潤 | 私企業(法人企業) |
| 市が営むバス | 地方公共団体 | 公共のため | 公企業 |
中小企業と大企業:中小企業は、企業の数の99%以上、働く人の約7割をしめます(中小企業庁の調べ)。大企業から部品の生産を任される中小企業や、独自の技術で世界に製品を売る中小企業もあります。決め方の例(製造業)は、資本金3億円以下または働く人300人以下の企業です(中小企業基本法。業種でちがいます)。
起業とベンチャー企業:起業は、新しく事業を始め、企業をつくることです。ベンチャー企業は、新しい技術や独自のアイデアをもとに事業を起こし、成長をめざす企業です。企業をつくるときは、①だれの、どんな困りごとを解決するか、②どうやって売り上げを得て、利潤を出すか、③社会の一員として何を守るか、の順に考えます。例は、Aさんが、ひとり暮らしのお年寄りに食事を届ける会社を起こす場合で、①は食事をつくるのが大変なこと、②は食事の代金を売り上げにして、費用を引いた残りを利潤にすること、③は法律や、食べ物の安全を守ることです。
| CSRの責任の分野 | 取り組みの例 |
|---|---|
| 法律を守る | 法律を守って生産する |
| 安全な商品をつくる | 安全な商品をつくって売る(企業が欠陥の責任を負う製造物責任法ともつながる) |
| 環境を守る | ごみや二酸化炭素を減らす |
| 働く人の生活を守る | 働きやすい職場をつくる |
| 地域や文化を支える | 地域の行事やボランティアを支える。文化やスポーツを支える |
企業の社会的責任(CSR):企業は利潤を求めるだけでなく、社会の一員として責任を果たすべきだという考え方です。合言葉は「利潤も、社会への責任も」です。
まちがえやすい
✕ 水道やバスの公企業も、利潤を第一の目的にしている → ◯ 公企業は公共のために仕事をする
✕ 企業は、利潤を上げれば、ほかのことは考えなくてよい → ◯ 社会の一員として責任を果たす
基本次の(1)〜(3)は、公企業と私企業(個人企業・法人企業)のどれですか。(1)県が営む水道 (2)Gさんが1人で営む理容店 (3)株式会社のH社が経営する電車
だれが経営しているか → 何を目的にしているか、の順に見ます。
答え:(1)公企業 (2)私企業(個人企業) (3)私企業(法人企業)
標準製造業で、資本金が2億円、働く人が500人の企業は、中小企業にあたりますか。中小企業の決め方は、資本金3億円以下または働く人300人以下です。
「または」なので、どちらか一方に当てはまれば中小企業です。資本金2億円は3億円以下に当てはまります。働く人は500人で300人以下ではありませんが、資本金で当てはまります。
答え:あたる
標準次の(1)(2)は、CSRの責任の分野(法律を守る/安全な商品をつくる/環境を守る/働く人の生活を守る/地域や文化を支える)のどれにあたりますか。(1)地域の祭りのボランティアを支える (2)ごみや二酸化炭素を減らす
表の「取り組みの例」の列と見くらべます。
答え:(1)地域や文化を支える (2)環境を守る
株式会社はどうやって資本を集める? 株主の権利と責任
📄 プリント②(企業と市場経済)6・7ページ
答え:株式会社は、株式を発行して、多くの人から資本を集める会社です。株主は、株主総会で議決に加わり、配当を受け取る権利があり、会社が倒産しても、失うのは出したお金までです(有限責任)。株式は証券取引所で売り買いされ、値段(株価)は、買いたい人と売りたい人で動きます。
株式と株主:株式(かぶしき)を発行して、多くの人から資本を集める会社が株式会社で、いちばん多い会社の形です。株主(かぶぬし)は、株式を買って、会社にお金を出した(出資した)人や会社です。たとえば(架空の数です)、1株を1万円として株式を30万株発行し、すべて買ってもらえれば、1万円×30万株=30億円の資本が集まります。1人の社長が出せない大きなお金も、多くの人が少しずつ出し合えば集められます。
お金の流れ:株主が会社にお金を出し(出資)、会社は株式を渡します。株式を発行して集めたお金で、設備・原材料を買い、働く人をやとって生産します。利潤が出ると、利潤の一部を配当として株主に分けます(利潤が少ないと、減ったり無かったりします)。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 株主総会 | 株主が集まって、会社の基本的な方針を決めたり、取締役を選んだりする会議。株主は、持っている株式の数に応じて議決権(票)を持つ |
| 取締役 | 会社の経営を任される人(株主総会で選ばれる) |
| 配当(はいとう) | 会社が得た利潤の一部を、持っている株式の数に応じて株主に分けるもの |
| A社の株主 | 株式の数 | 議決権と配当 |
|---|---|---|
| Aさん | 100株 | もとになる量 |
| Bさん | 300株 | Aさんの3倍 |
1人1票ではなく、株式の数に応じて決まります。
株主の権利と責任:権利は、株主総会で議決に加わること、配当を受け取ることです。責任は有限責任で、会社が倒産しても、株主は、出したお金を失うだけで、それ以上の会社の借金を返す責任は負いません。だから、多くの人が株式を買いやすいのです。
証券取引所と株価:株式は、証券取引所などで売り買いされます。株式の値段を株価といい、株式を買って会社にお金を出すことを投資といいます。
| 株式を買いたい人と売りたい人 | 株価 |
|---|---|
| 買いたい人が、売りたい人より多い | 上がる |
| 売りたい人が、買いたい人より多い | 下がる |
たとえば、A社の利潤が減りそうだと、配当も減りそうなので、株式を売りたい人が増え、株価は下がります。株価が下がると、株式を買った人は損をすることがあります。投資には、損をする心配もあるのです(ただし有限責任なので、失うのは出したお金までです)。
まちがえやすい
✕ 株主総会では、株主1人が1票を持つ → ◯ 持っている株式の数に応じて票を持つ
✕ 会社が倒産すると、株主は会社の借金を全部返さなければならない → ◯ 有限責任なので、出したお金を失うだけ
標準L社の株主は、Eさん150株、Fさん60株、Gさん90株の3人だけです。(1)株主総会での議決権が、いちばん多いのはだれですか。(2)Eさんは、全体の議決権の何割を持っていますか。
議決権は、持っている株式の数に応じて決まります。株式の合計は 150 + 60 + 90 = 300株です。Eさんは 150 ÷ 300 = 0.5 です。
答え:(1)Eさん (2)5割
標準株式会社のJ社が倒産し、会社の借金が1億円ありました。株主のGさんは、J社の株式を買うために50万円を出していました。Gさんが失うのは、いくらまでですか。
有限責任なので、株主が失うのは、出したお金までです。会社の借金の1億円を、Gさんが返す責任は負いません。
答え:50万円まで
理由K社の新製品が大きく売れ、K社の利潤が増えそうだとわかりました。K社の株価は、上がりやすいですか、下がりやすいですか。理由とあわせて答えなさい。
株価は、株式を買いたい人と売りたい人で動きます。A社の利潤が減りそうなときの例と、反対に考えます。
答え:(例)上がりやすい。利潤が増えると配当も増えそうなので、株式を買いたい人が増えるから。
働く人はどう守られる? 労働三権と労働三法
📄 プリント②(企業と市場経済)8・9ページ
答え:1人では弱い立場の働く人(労働者)は、労働組合をつくり、労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)を使って、使用者(会社)と対等に話し合います。法律では、労働三法(労働基準法・労働組合法・労働関係調整法)が働く人を守ります。
労働の意義:働くことには、収入(賃金)を得て生活を支える、仕事を通じて社会の役に立つ(社会に参加する)、自分の能力を生かし、成長する、という意義があります。憲法は、勤労の権利(第27条)を保障し、同時に勤労の義務も定めています。
1人では弱い立場:働く人(労働者)は、会社(使用者〔しようしゃ〕)とくらべると、弱い立場になりやすくなります。1人では、賃金や働く時間について、対等に話し合いにくいからです。労働組合は、労働者が団結(だんけつ)してつくる組織で、使用者と対等に話し合います。
| 労働三権(労働基本権) | 内容 |
|---|---|
| 団結権 | 労働組合をつくる権利 |
| 団体交渉権 | 労働組合が使用者と交渉する権利 |
| 団体行動権 | ストライキなどを行う権利 |
| 労働三法 | 内容 |
|---|---|
| 労働基準法 | 労働条件(賃金・労働時間・休日など)の最低の基準を決める |
| 労働組合法 | 労働者が労働組合をつくり、使用者と交渉することを保障する |
| 労働関係調整法 | 労働者と使用者の争い(労働争議)を防いだり、解決したりする(労働委員会が間に入る) |
| 労働基準法の項目 | 決まり |
|---|---|
| 労働時間 | 1日8時間・1週40時間以内 |
| 休日 | 少なくとも毎週1日 |
| 賃金 | 男女で差をつけない |
| 子ども | 中学生までの子どもを働かせるのは原則禁止 |
「最低の基準」の意味:これより悪い条件で働かせる約束をしても、その部分は無効になり、法律の基準が当てはまるということです(例:休日が1日も無い約束)。あわせて覚える法律に、男女雇用機会均等法と、子育てや家族の介護のために休みを取れる育児・介護休業法があります。
| 場面 | 関係する法律 |
|---|---|
| 賃金や休日など、働く条件の最低の基準を守らせたい | 労働基準法 |
| 働く人が集まって、会社と話し合う組織をつくりたい | 労働組合法 |
| 会社と働く人の争いを、間に入って解決してほしい | 労働関係調整法 |
多様な働き方が求められるわけ:子育て・家族の介護・病気・障がい・学び直しなど、人によって事情はちがいます。一人ひとりを大切にする(個人の尊重)ためには、時間や場所を選べる、いろいろな働き方が求められます。合言葉は「基準・組合・調整(労働三法)」です。
まちがえやすい
✕ 労働三権は、労働三法の名前 → ◯ 労働三権は権利、労働三法は法律で、別のもの
✕ 労働基準法は、労働組合をつくる権利を保障する法律 → ◯ それは労働組合法
基本次のア〜エを、労働三権と労働三法に分けなさい。ア 団結権 イ 労働基準法 ウ 団体行動権 エ 労働組合法
権利の名前か、法律の名前かで分けます。
答え:労働三権=ア・ウ、労働三法=イ・エ
標準Cさんは、1日7時間、週6日働いています。労働基準法の「1日8時間・1週40時間以内」に、この働き方は合っていますか。
1日は 7 時間で、8時間以内です。1週は 7 × 6 = 42 時間で、40時間をこえています。
答え:合っていない(1週の労働時間が42時間で、40時間をこえている)
理由会社が、働く人と「休日が1日も無い」という約束をしても、その部分が無効になるのは、労働基準法が何を決める法律だからですか。「最低」の語を使って答えなさい。
「最低の基準」の意味を思い出します。
答え:(例)労働条件の最低の基準を決める法律で、これより悪い条件の約束は無効になるから。
働き方はどう変わってきた? 正規と非正規・ワーク・ライフ・バランス
📄 プリント②(企業と市場経済)10・11ページ
答え:働き方は、終身雇用・年功序列賃金から、転職する人が増え、成果主義を取り入れる会社が増えるように変わり、非正規労働者も増えました。いきいきと働けるように、ワーク・ライフ・バランスをめざす働き方改革が進んでいます。
| 前 | 近年 | |
|---|---|---|
| 雇い方 | 終身雇用(1つの会社で定年まで働く) | 転職する人が増えた |
| 賃金の決め方 | 年功序列賃金(年齢や勤めた年数で賃金が上がる) | 成果主義(仕事の成果や能力で賃金を決める)を取り入れる会社が増えた |
たとえば、入社20年のEさんと入社3年のFさんでは、年功序列賃金ならEさんの賃金が高くなります。成果主義なら、仕事の成果によって、Fさんのほうが高くなることもあります。
| 正規 | 非正規 | |
|---|---|---|
| 働く期間 | 決まっていない | 決まっていることが多い |
| 賃金 | 年齢とともに上がりやすい | 上がりにくく、差が大きい |
| 仕事が無くなる心配 | 小さい | 仕事が減ると、契約を打ち切られやすい |
正規と非正規:正規労働者(正社員)は、期間の定めなく、フルタイムで働く労働者です。非正規労働者は、パート・アルバイト・派遣労働者・契約労働者(契約社員)などです。非正規労働者は、雇われて働く人の約37%(4割近く。総務省の調べ)をしめます。非正規には、自分の都合に合わせて働ける良さもあります。同一労働同一賃金は、同じ会社で同じ仕事をする正規と非正規の間で、不合理な待遇の差をつけることを禁止する考え方です(2020年から。中小企業は2021年から)。
長時間労働から、ワーク・ライフ・バランスへ:長時間労働が続くと、心や体の病気になったり、過労死(働きすぎによる病気や死)につながったりします。そこで、仕事と生活の調和が大切だと考えられるようになり、働き方改革が進みました(2019年から、残業時間に上限が設けられた)。ワーク・ライフ・バランスは、仕事と、家庭・地域・趣味などの生活との調和です。
| 分野 | 取り組みの例 |
|---|---|
| 時間 | 働く時間を自分で決められる制度(フレックスタイム制)。残業を減らす |
| 場所 | テレワーク(インターネットなどの情報通信技術を使い、自宅などで働く) |
| 子育てと介護 | 育児休業を男性も取る。保育所を整える |
| いろいろな人 | 女性・高齢者(定年の延長)・障がいのある人・外国人労働者が働きやすい職場 |
「多様な働き方が求められるわけ」は、このような取り組みで形になります。取り組みは、その人の事情に合わせて選びます。たとえば、小さな子を育てながら働く人には、保育所を整える、働く時間を自分で決められる制度が、家族の介護をしながら働く人には、テレワークで自宅で働く、残業を減らすことが、定年のあとも働きたい人には、定年の延長など、高齢者が働きやすい職場が当てはまります。
グラフの読み方:2つのグラフから特徴を読むときは、1つずつ読みます。年ごとに変わるグラフは「増えているか、減っているか」、グループをくらべるグラフは「どのグループが高いか」を見ます。合言葉は「仕事と生活のバランス」です。
まちがえやすい
✕ 非正規労働者は、アルバイトだけのこと → ◯ パート・派遣・契約も非正規労働者
✕ ワーク・ライフ・バランスとは、仕事をせずに生活を楽しむこと → ◯ 仕事と生活の調和
標準入社2年のHさんが、大きな成果を出しました。年功序列賃金の会社と、成果主義の会社で、Hさんの賃金は、それぞれ上がりやすいですか、上がりにくいですか。
年功序列賃金は、年齢や勤めた年数で賃金が上がります。成果主義は、仕事の成果や能力で賃金を決めます。
答え:年功序列賃金の会社は上がりにくく(勤めた年数が短い)、成果主義の会社は上がりやすい
標準次の(1)(2)にあてはまる取り組みを、フレックスタイム制・テレワーク・育児休業から選びなさい。(1)インターネットなどを使って、自宅で働く (2)働く時間を、自分で決められる
表の「取り組みの例」の列と見くらべます。
答え:(1)テレワーク (2)フレックスタイム制
理由長時間労働が続くことが、問題とされるのは、なぜですか。「過労死」の語を使って答えなさい。
長時間労働が続いたあとに、何が起こるかを思い出します。
答え:(例)心や体の病気になったり、過労死につながったりするから。
価格はどう決まる? 需要量と価格の関係の向き
📄 プリント②(企業と市場経済)12ページ
答え:市場で、商品の価格は、買い手が買おうとする量(需要量)と、売り手が売ろうとする量(供給量)のバランスで決まります。価格が高いと需要量は減るので需要曲線は右下がり、価格が高いと供給量は増えるので供給曲線は右上がりです。2つが交わる点の価格が均衡価格です。
市場経済:市場(しじょう)は、商品が売り買いされる場で、インターネットでの売り買いなども含みます。市場を通じて、商品が自由に売り買いされる経済を市場経済といいます。たとえば、かき氷屋さんが1杯500円で売ると、買う人が少なく、売れ残ります。100円ではすぐに売り切れて、つくるほど損かもしれません。値段は、買う人と売る人の両方から考えて決まります。
| 価格(円) | 100 | 200 | 300 | 400 | 500 |
|---|---|---|---|---|---|
| 需要量(杯) | 100 | 80 | 60 | 40 | 20 |
| 供給量(杯) | 20 | 40 | 60 | 80 | 100 |
500円では、需要量20<供給量100で、売れ残るので価格は下がります。100円では、需要量100>供給量20で、品不足なので価格は上がります。
| 需要曲線 | 供給曲線 | |
|---|---|---|
| だれの量か | 買い手が買おうとする量(需要量) | 売り手が売ろうとする量(供給量) |
| 価格が高いと | 買う量が減る | 売りたい量が増える |
| 価格と数量の関係の向き | 右下がり | 右上がり |
グラフの読み方(価格から見る):縦の軸(価格)で、調べたい価格を決めます。そこから横に線を引きます。需要曲線にぶつかる所の数量が買いたい量、供給曲線にぶつかる所の数量が売りたい量です。2つの数量をくらべます。
| 価格 | 需要 | 供給 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 400円 | 40杯 | 80杯 | 売れ残り → 下がる |
| 200円 | 80杯 | 40杯 | 品不足 → 上がる |
均衡価格と市場価格:均衡価格(きんこうかかく)は、需要量と供給量が一致する価格で、グラフの交わる点(300円・60杯)です。市場価格は、市場で実際に売り買いされる価格で、上がり下がりしながら、均衡価格に近づきます。合言葉は「需要は買う人、供給は売る人」です。
まちがえやすい
✕ 右上がりの線が需要曲線 → ◯ 右上がりは供給、右下がりは需要。売れ残りで価格は下がる
標準あるケーキ屋のケーキについて、価格200円のとき需要量90個・供給量10個、300円のとき70個・30個、400円のとき50個・50個、500円のとき30個・70個でした。(1)価格が300円のとき、売れ残りと品不足のどちらになり、価格は上がりますか、下がりますか。(2)均衡価格は何円で、そのときの数量は何個ですか。
(1)300円では、需要量70個>供給量30個なので、品不足です。品不足のとき、価格は上がります。(2)需要量と供給量が一致するのは、どちらも50個になる400円のときです。
答え:(1)品不足、上がる (2)400円、50個
標準上のかき氷屋の図(表)で、価格が500円のとき、売れ残りと品不足のどちらになり、売れ残りや品不足は何杯ですか。
500円では、需要量20杯、供給量100杯です。供給量のほうが多いので、売れ残りで、100 − 20 = 80 になります。
答え:売れ残り、80杯
理由需要曲線が右下がりになるのは、なぜですか。「価格」「買う量」の語を使って答えなさい。
需要曲線と供給曲線を比べた表を見ます。
答え:(例)価格が高いと、買う量が減るから。
価格はどんなときに変わる? 需要曲線・供給曲線が動くとき
📄 プリント②(企業と市場経済)13ページ
答え:どの価格でも買いたい量(需要量)が変わると需要曲線が動き、どの価格でも売りたい量(供給量)が変わると供給曲線が動いて、価格が変わります。需要が増えれば値上がり、供給が増えれば値下がりです。
| どんなとき | 動く曲線 | 向き | 価格 | 例 |
|---|---|---|---|---|
| どの価格でも需要量が増える | 需要曲線 | 右へ | 上がる | 夏に冷たい飲み物 |
| どの価格でも需要量が減る | 需要曲線 | 左へ | 下がる | 流行が終わる |
| どの価格でも供給量が増える | 供給曲線 | 右へ | 下がる | みかんが豊作 |
| どの価格でも供給量が減る | 供給曲線 | 左へ | 上がる | 工場の事故で部品がつくれない |
グラフで確かめる:グラフの線は、需要曲線は黒、供給曲線は灰色です。もとの曲線は破線、動いた後の曲線は実線で、白ぬきの矢印が動く向きを表します。縦の軸(価格)で、もとの価格と新しい価格をくらべましょう。
希少性と価格:希少性(欲しい量に対して、物の量が限られていること)は、価格とも関係があります。欲しい人が多いのに量が少ない物は、価格が高くなりやすいです。株価も同じしくみで、株式を買いたい量が売りたい量より多いと、株価は上がります。合言葉は「需要が増えれば値上がり、供給が増えれば値下がり」です。
まちがえやすい
✕ 供給曲線が右へ動くと、価格は上がる → ◯ 同じ価格で売りたい量が増え、交わる点が下がるので、価格は下がる
標準次の(1)(2)で、動く曲線(需要曲線か供給曲線か)、動く向き(右か左か)、価格の変化(上がるか下がるか)を答えなさい。(1)台風で、ある野菜の収穫が大きく減った (2)観光客が増えて、ある地方の土産菓子を買いたい人が増えた
(1)どの価格でも売りたい量が減るので、供給曲線が左へ動きます。(2)どの価格でも買いたい量が増えるので、需要曲線が右へ動きます。
答え:(1)供給曲線が左へ動き、価格は上がる (2)需要曲線が右へ動き、価格は上がる
理由供給曲線が右へ動くと、価格が下がるのは、なぜですか。「同じ価格で」「交わる点」の語を使って答えなさい。
注意の枠の説明を、自分の言葉でまとめます。
答え:(例)同じ価格で売りたい量が増え、需要曲線と交わる点が下がるから。
価格の働きと独占:競争が弱いと、価格はどうなる?
📄 プリント②(企業と市場経済)14ページ
答え:価格は、何を・どれだけつくり、どれだけ買うかの目安(信号)になり、限られた資源が、むだなく使われます(効率がよい)。1社だけが供給するのが独占、少数(数社)の企業が大部分を供給するのが寡占で、競争が弱いと、企業が一方的に決める高い価格(独占価格)になることがあります。
| 生産者は | 消費者は | |
|---|---|---|
| 価格が上がる | もっとつくる | 買う量を減らす |
| 価格が下がる | つくる量を減らす | 買う量を増やす |
価格の働き:この働きによって、限られた資源(原材料・労働力など)が、多くの人が必要とする物の生産に、むだなく使われます。たとえば、かぜがはやって、マスクを欲しい人が急に増えたときは、次のように進みます。マスクを買いたい量が急に増えて品不足になり、価格が上がります。価格が上がったのを見て、多くの企業がマスクをもっとつくります(原材料や労働力が、マスクの生産に回ります)。マスクが多くの人に行きわたり、品不足がなくなると、価格も下がっていきます。
| 多くの企業が売る | 寡占 | 独占 | |
|---|---|---|---|
| 売る企業の数 | 多くの企業 | 少数(数社) | 1社 |
| 競争 | ある | 弱い | ほとんどない |
| 価格 | 競争で下がりやすい | 高いままになりやすい | 企業が一方的に決めやすい |
独占と寡占:独占は、1社だけが商品を供給している状態、寡占(かせん)は、少数(数社)の企業が商品の大部分を供給している状態です。競争が弱いと、企業が一方的に決める高い価格(独占価格)になることがあり、消費者は、高い値段で買うしかなくなります。競争相手の企業が減って、売る企業が1社だけになると、その企業が価格を一方的に決めやすくなります。寡占になりやすい物の例は、自動車・ビール・携帯電話の通信です。合言葉は「独占は1社、寡占は数社」です。
まちがえやすい
✕ 独占は数社、寡占は1社 → ◯ 逆。独占は1社、寡占は数社
標準雨が続いて、傘を欲しい人が急に増えました。価格の働きによって進むことを、次のア〜エを並べて、順に答えなさい。ア 傘の価格が上がる イ 傘をもっとつくる企業が増える ウ 傘を買いたい量が増えて、品不足になる エ 傘が行きわたり、価格が下がっていく
マスクの例と同じ順に、品不足 → 価格が上がる → もっとつくる → 行きわたって下がる、とつなぎます。
答え:ウ → ア → イ → エ
基本次の(1)(2)は、独占と寡占のどちらですか。(1)1社だけが商品を供給している (2)数社が、商品の大部分を供給している
売る企業の数で分けます。
答え:(1)独占 (2)寡占
理由独占や寡占で、価格が高くなりやすいのは、なぜですか。「競争」「一方的」の語を使って答えなさい。
独占・寡占の表の「競争」の行と「価格」の行を見ます。
答え:(例)競争が弱く、企業が価格を一方的に決めやすいから。
公正な競争を守るしくみ:独占禁止法と公共料金
📄 プリント②(企業と市場経済)15ページ
答え:企業どうしが前もって話し合って価格や生産量を決めるカルテルは、独占禁止法(1947年)で禁止され、公正取引委員会が監視します。国民の生活に大きなえいきょうがある電気・水道・鉄道などの料金は、公共料金として、国や地方公共団体が決めたり、認めたりします。
| 競争がある時 | カルテルの時 | |
|---|---|---|
| 3社は | それぞれ安い見積もりを出す | 前もって「どこも1人2万円以上」と決める |
| 学校は | いちばん安い会社を選べる | 高い値段で申しこむしかない |
独占禁止法と公正取引委員会:ある学校の修学旅行の見積もりを、旅行会社のA社・B社・C社が出すとします。独占禁止法は、企業どうしの公正で自由な競争をうながす法律で、カルテルなどを禁止します。公正取引委員会は、この法律が守られているか監視する国の機関で、カルテルなどが行われていないかを調べ、行われていればやめるよう命令します。
| 公共料金の決め方 | 例 |
|---|---|
| 国会・政府が決める | 社会保険診療報酬・介護報酬 |
| 政府が認可する | 電気料金・鉄道運賃・都市ガス料金・乗合バス運賃・高速道路の料金 |
| 政府に届け出る | 郵便料金(手紙・はがき)・固定電話の通話料金 |
| 地方公共団体が決める | 公営水道料金・公立学校の授業料・公衆浴場の入浴料 |
公共料金:国民の生活に大きなえいきょうがあるため、国や地方公共団体が決めたり、認めたり(認可)する料金です。電気・水道・鉄道などは、生活に欠かせません。自由に値上げされると困るので、国や地方公共団体が決めたり、認めたりします。合言葉は「競争を守る独占禁止法、生活を守る公共料金」です。
まちがえやすい
✕ 公共料金は、需要と供給だけで自由に決まる → ◯ 国や地方公共団体が決めたり、認めたりする
標準120人の学年の修学旅行で、旅行会社3社が競争すると、いちばん安い見積もりは1人1万6千円でした。3社がカルテルを結んで「どこも1人2万円以上」と決めると、学校は、1人2万円で申しこむしかなくなりました。学校全体の費用は、競争があるときより何万円高くなりますか。
1人あたり、20,000 − 16,000 = 4,000円高くなります。120人では、4,000 × 120 = 480,000円です。
答え:48万円
標準次の(1)〜(3)は、公共料金の決め方(国会・政府が決める/政府が認可する/政府に届け出る/地方公共団体が決める)のどれですか。(1)鉄道運賃 (2)公立学校の授業料 (3)郵便料金(手紙・はがき)
公共料金の決め方の表の「例」の列と見くらべます。
答え:(1)政府が認可する (2)地方公共団体が決める (3)政府に届け出る
理由独占禁止法が、企業どうしのカルテルを禁止するのは、なぜですか。「競争」「消費者」の語を使って答えなさい。
カルテルがある時と、競争がある時を、学校の立場で比べます。
答え:(例)企業どうしの公正で自由な競争を守り、消費者が、いちばん安い会社を選べるようにするため。
後半のまとめ:企業・働く人・価格は、どうつながって暮らしを支えている?
📄 プリント②(企業と市場経済)16ページ
答え:企業は、分業と交換で効率よく生産し、利潤を目的に競争する中で技術革新を生み、社会的責任も果たします。株式会社は、株式で資本を集めます。働く人は、労働基準法や労働組合で守られ、多様な働き方が求められています。価格は需要と供給で決まり、資源をむだなく使わせますが、競争が弱まると高くなりやすいので、独占禁止法で公正な競争を守り、生活に欠かせない物は公共料金にしています。
ステップチャート:①企業は設備・原材料・労働力・資本で生産し、分業と交換で効率よくつくる → ②私企業は利潤を目的に競争し、その中で技術革新が生まれる → ③企業には公企業と私企業があり、中小企業が多くの人を雇う → ④起業し、利潤だけでなく社会的責任も果たす → ⑤株式会社は、株式で資本を集め、利潤を配当で返す → ⑥株主は有限責任。株価は、買いたい人と売りたい人で動く → ⑦働く人は、労働組合と労働三権で守られる → ⑧労働基準法が最低の基準。多様な働き方が求められる → ⑨終身雇用から成果主義へ。正規と非正規のちがい → ⑩ワーク・ライフ・バランスと働き方改革 → ⑪価格は需要量と供給量で決まり、均衡価格に近づく → ⑫需要や供給が変わると曲線が動き、価格が変わる → ⑬価格は資源をむだなく使わせる。独占や寡占では価格が高くなりやすい → ⑭独占禁止法で公正な競争を守り、公共料金は国などが決める。
| 全体の図の場所 | つながる言葉 |
|---|---|
| 株主 | 株式・配当・有限責任 |
| 家計 | 労働基準法・労働組合・正規と非正規・ワーク・ライフ・バランス |
| 市場 | 需要量と供給量・均衡価格・価格の働き |
| 企業 | 分業・利潤・技術革新・公企業と私企業・CSR |
| 国 | 独占禁止法・公正取引委員会・公共料金 |
まちがえやすい
✕ 価格は、企業が好きなように決めてよい → ◯ 価格は需要と供給で決まる。競争が弱まると高くなりやすいので、独占禁止法で公正な競争を守る
標準次のア〜ウを、「後半のステップチャート」の順に並べなさい。ア 価格は需要量と供給量で決まり、均衡価格に近づく イ 株式会社は、株式で資本を集め、利潤を配当で返す ウ 働く人は、労働組合と労働三権で守られる
株式会社(⑤)→ 働く人(⑦)→ 価格(⑪)の順につなぎます。
答え:イ → ウ → ア
基本次のア〜ウは、全体の図の中のどの場所と結びつく言葉ですか。ア 配当・有限責任 イ 均衡価格・価格の働き ウ 独占禁止法・公共料金
表の「つながる言葉」の列と見くらべます。
答え:ア 株主、イ 市場、ウ 国
✅ 一問一答で総チェック(20問)
問題を読んで、答えを頭の中で言ってからタップしましょう。答えが出ます。
-
形のある商品を何といいますか。
答え:財
-
家計の収入を何といいますか。
答え:所得
-
人々が欲しいと思う量に対して、財やサービスの量や使えるお金が限られていることを何といいますか。
答え:希少性
-
売る側と買う側が、たがいに合意した時に成立する約束を何といいますか。
答え:契約
-
1962年に消費者の四つの権利を示した、アメリカの大統領はだれですか。
答え:ケネディ
-
商品の欠陥で被害を受けたとき、企業の過失を証明しなくても損害賠償を求められる法律を何といいますか。
答え:製造物責任法
-
訪問販売などで契約したとき、一定の期間内なら理由を問わず契約を解除できる制度を何といいますか。
答え:クーリング・オフ
-
2022年4月から、成年年齢は何歳に引き下げられましたか。
答え:18歳
-
レジで商品のバーコードを読み取り、何が・いつ・いくつ売れたかを記録するしくみを何といいますか。
答え:POSシステム
-
売り上げから費用を引いた残りを何といいますか。
答え:利潤
-
株式を発行して、多くの人から資本を集める会社を何といいますか。
答え:株式会社
-
会社が倒産しても、株主が失うのは出したお金までである責任を何といいますか。
答え:有限責任
-
労働者が団結してつくり、使用者と対等に話し合う組織を何といいますか。
答え:労働組合
-
労働条件の最低の基準を決める法律を何といいますか。
答え:労働基準法
-
仕事の成果や能力で賃金を決める考え方を何といいますか。
答え:成果主義
-
仕事と、家庭・地域・趣味などの生活との調和を何といいますか。
答え:ワーク・ライフ・バランス
-
需要量と供給量が一致する価格を何といいますか。
答え:均衡価格
-
どの価格でも買いたい量が増えたとき、需要曲線は右と左のどちらへ動き、価格はどうなりますか。
答え:右へ動き、価格は上がる
-
1社だけが商品を供給している状態を何といいますか。
答え:独占
-
企業どうしが前もって話し合って、価格や生産量を決めることを何といいますか。
答え:カルテル
まとめ
前半では、経済は財やサービスの生産・流通・消費で、限りがあるので選んで計画的に消費することを学びました。契約は合意で成立し、守る義務があるので、内容をよく読んでから結びます。売る側との情報の差から消費者を守るために、製造物責任法・消費者契約法・クーリング・オフ制度があり、消費者基本法は消費者の自立を支援します。後半では、企業が利潤を目的に競争し、社会的責任も果たし、株式会社が株式で資本を集めることを学びました。働く人は労働組合と労働三法で守られます。価格は、価格が高いと買う量が減る需要曲線(右下がり)と、売りたい量が増える供給曲線(右上がり)が交わる均衡価格に近づき、需要や供給が変わると曲線が動いて価格が変わります。競争が弱まると価格が高くなりやすいので、独占禁止法で公正な競争を守ります。
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説明 1〜12ページ/確認問題 13〜15ページ/覚えることの一覧 16ページ/答えと解説 17・18ページ
説明 1〜16ページ/確認問題 17〜19ページ/覚えることの一覧 20ページ/答えと解説 21・22ページ

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